バイクを遠隔地へ移動させる際、最も一般的で利用しやすい方法が陸送です。引越しや個人売買、あるいはツーリング先への輸送など、様々なニーズに応える陸送サービスは、専門業者の手によって大切なバイクを目的地まで届けてくれます。しかし、安心して任せるためには、その流れやメリット・デメリット、そして注意すべき点を事前に理解しておくことが重要です。この記事では、バイクの陸送輸送に関する包括的な情報を提供します。
バイクの陸送の輸送はどんなシーンで利用される？
バイクの陸送輸送が活躍する場面は多岐にわたります。
引っ越し
最も代表的なのは、引越しに伴う住所変更で、新居までバイクを安全に運びたいというケースです。また、インターネットオークションや個人間でバイクを売買した際に、遠方の相手へ確実に届ける手段としても広く活用されています。特に、現車確認なしでの取引や、個人での長距離運転が困難な場合に重宝されます。
店舗や目的地へ送る場合
このほか、専門的な修理やカスタムを依頼するために、特定のショップへバイクを送る際や、長距離ツーリングの出発点までバイクを運び、帰りは自宅まで送ってもらうといった利用方法もあります。これにより、ライダーは体力的な負担を軽減し、ツーリングそのものを存分に楽しむことができます。
自走できない車両の移動等
さらに、車検切れのバイクや不動車など、公道を自走できない車両を移動させる唯一の手段としても、陸送は不可欠な存在です。バイク販売店間の車両移動や、イベントへの展示車両輸送など、ビジネスシーンでも頻繁に利用されています。
バイクの陸送輸送の流れ
バイクの陸送を専門業者に依頼する場合、一般的な手続きの流れは以下のようになります。
業者の選定・見積
まず、輸送を希望するバイクの車種や排気量、引き取り場所と届け先の住所、希望日時などの情報を基に、複数の業者から見積もりを取ることから始めます。多くの業者がウェブサイト上でのオンライン見積もりや、電話での問い合わせに対応しています。
輸送の準備
見積もり内容やサービス、料金に納得できれば、正式に輸送を申し込み、契約を結びます。その後、業者が具体的な引き取り日時と配送予定日を調整します。引き取り日までに、依頼者はバイクからETCカードや個人情報を含む貴重品、取り外し可能なアクセサリー類を降ろしておく必要があります。ガソリンの量については、業者によって指示が異なる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
バイクの引き渡し
引き取り当日には、業者のドライバーが専用のトラックで訪れ、バイクの外装状態（傷や凹みなど）を依頼者と共に確認し、車両状態確認書に記録します。この確認作業は、輸送後のトラブルを防ぐために非常に重要です。バイクはその後、専門の資材や技術を用いてトラックの荷台に安全に固定され、輸送中の揺れや衝撃から保護されます。
バイクの受け取り
輸送期間は距離や業者のスケジュールによって数日から1週間以上かかることもあります。バイクが目的地に到着すると、事前に指定された届け先で、再び依頼者または受取人がドライバーと共に車両状態を確認し、問題がなければサインをして引き渡し完了となります。陸送サービスには、自宅から目的地まで一貫して輸送する「ドアtoドア」のほか、費用を抑えるために業者の指定するデポ（営業所）へ自分でバイクを持ち込んだり、引き取りに行ったりする「デポ持ち込み・デポ止め」といったプランも用意されています。
陸送輸送のメリット
バイクの陸送輸送には多くのメリットがあります。最大の利点は、日本全国ほとんどの地域をカバーする広範な輸送ネットワークと、自宅から指定の場所まで直接運んでくれる「ドアtoドア」サービスの利便性でしょう。これにより、依頼者はバイクを運ぶ手間を大幅に省くことができます。
また、車検が切れていたり、故障して動かない状態のバイクであっても、専門の業者が安全に輸送してくれる点も大きな強みです。自走できないバイクの移動には、陸送が実質的に唯一の選択肢となることも少なくありません。プロのドライバーが専用車両と適切な固定技術を用いて運ぶため、輸送中のバイクへの物理的な負担も最小限に抑えられます。長距離を自走する場合に比べて、時間や燃料費、高速道路料金、そして何よりもライダー自身の疲労を考慮すると、特に遠方への輸送ではコストパフォーマンスにも優れていると言えます。
陸送輸送のデメリット
一方で、陸送輸送にはいくつかのデメリットも存在します。まず、輸送にはある程度の日数がかかることが挙げられます。距離や業者の集荷・配送ルート、交通事情などにもよりますが、即日や翌日といった迅速な配達は難しく、数日から1週間、場合によってはそれ以上の日数を要することもあります。そのため、非常に急ぎの輸送には向いていません。
費用面では、航空輸送などに比べれば安価ですが、それでも近距離の自走に比べれば数万円単位の出費となることが一般的です。特に長距離や、繁忙期には料金が割高になる傾向があります。また、引き取りや届けの日時をピンポイントで指定することが難しく、多くの場合、数時間の幅を持たせた時間帯での対応となるか、日付のみの指定となることも理解しておく必要があります。
さらに、どれだけ専門業者が注意を払っても、輸送中に微細な傷が付いてしまうリスクがゼロとは言い切れません。このため、事前の車両状態の確認と、万が一の場合の保険内容は非常に重要になります。
陸送輸送の際の注意点
バイクの陸送を安心して利用するためには、いくつかの重要な注意点があります。まず最も大切なのは、信頼できる陸送業者を選ぶことです。料金だけでなく、過去の実績や口コミ、保険内容などを比較検討し、安心して任せられる業者を選定しましょう。複数の業者から見積もりを取り、サービス内容と料金を比較することも賢明です。
契約前には、必ず運送保険の内容を詳細に確認してください。どのような場合に保険が適用されるのか、補償の上限額はいくらか、免責事項はあるのかなどを把握しておくことが、万が一のトラブルの際に自身を守ることに繋がります。
バイクの引き渡し時には、業者の担当者と一緒に車両の状態を細かく確認し、既存の傷や凹みなどを書面に正確に記録してもらうことが不可欠です。可能であれば、スマートフォンなどで日付の入る写真を複数枚撮影しておくことも推奨されます。同様に、バイクの受け取り時にも、輸送中に新たな損傷がないかを徹底的に確認し、問題があればその場で担当者に申し出て書面に残すようにしましょう。
その他、輸送を依頼するバイクからは、ETCカード、ナビゲーションシステム、ドライブレコーダーのSDカードなどの貴重品や個人情報が含まれるものは必ず取り外しておきます。また、ガソリンの量やバッテリーの扱いなど、業者からの指示があればそれに従うようにしましょう。特に引越しシーズンなどの繁忙期は、予約が取りにくくなったり、通常より輸送日数がかかったりすることがあるため、余裕を持った計画を立てることが望ましいです。
まとめ
バイクの陸送輸送は、引越しや個人売買、遠隔地への移動など、様々な場面で頼りになるサービスです。全国を網羅するネットワークと専門的なノウハウにより、あらゆる状態のバイクを目的地まで安全に届けることが可能です。費用や時間はある程度かかりますが、その利便性や安心感は大きなメリットと言えるでしょう。信頼できる業者を選び、事前の準備と確認を怠らず、本記事で解説した注意点を守ることで、大切なバイクの陸送をスムーズかつ安心して行うことができるはずです。
