雪が降っている状況では、バイクに乗らないという認識が一般的です。しかし、遠方へのツーリングなどの場合、雪道を走行しなければならない状況になることも少なくありません。
今回は、バイクで雪道を走行するために必要な装備について解説します。また、雪道での走行テクニックもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
バイクで雪道走行は可能?
雪道の走行は、しっかりと準備することで走行可能です。ただし、バイクで雪道を走行する際は、いくつかの注意点があります。
バイクでの雪道走行は危険
雪対策装備をしている四輪車であっても、雪道の走行は多くの危険を伴います。二輪車の場合、四輪車に比べて純粋なグリップ力で劣っている、バランスが悪い、スリップ時に転倒するなどの問題があります。
雪道対策などを行っていれば走行は可能ですが、基本的には雪が降っている際は、バイクに乗らないほうが賢明です。
雪道走行には準備が必要
どうしても雪道を走行しなければならない、もしくは雪が降る恐れがあるなどの場合は、しっかりと雪対策を行う必要があります。ノーマル装備のみの場合は、走行を諦めて別の手段で移動しましょう。
バイクの雪対策として、タイヤなどの足回り装備とライダー自身を守る装備があります。路面状況が悪いため、足回りの装備は欠かせません。また、吹雪による視界不良や体温低下によって重大な事故につながる恐れがあり、十分に注意が必要です。
雪道走行におすすめなバイクと足回り装備
雪道走行では、滑りにくくするための足回り対策が必須です。また、バイクの種類によっても走りやすさが変わります。
雪道走行におすすめなバイク
雪道を走行する必要がある場合、バイクの種類も重要です。積雪の多い地域でバイクを購入する場合は、雪道を走りやすいバイクを選ぶことをおすすめします。
雪道を走りやすいバイクの基準は、50~125cc程度の軽量で足付きが良いオフロードタイプのバイクです。このようなバイクの場合、車体をバンクせずに両足がついた状態で曲がることが可能です。
一方、スポーツタイプや大型のオンロードタイプの場合、曲がるためには車体をバンクする必要があります。無理やり曲がることもできますが、小回りが利かず、雪道の走行には不向きといえるでしょう。
雪道走行に必要な足回り装備
まずは、雪道走行に必要な足回り装備について解説します。
雪道走行には、ノーマルタイヤではなく、スタッドレスタイヤもしくはスパイクタイヤが必要です。また、後付けできるタイヤチェーンも雪道走行で役立ちます。
雪対策用のタイヤは、個人の判断で装備するかどうかを決められるわけではありません。各都道府県が規定する「道路交通法施行細則」において、スノータイヤなどの装備が義務付けられていることがほとんどです。
スノータイヤとタイヤチェーン
雪道対策として、スタッドレスタイヤ、スパイクタイヤなどのスノータイヤかタイヤチェーンを装備するかで迷う方も多いかもしれません。
効果が高いとされているのはタイヤチェーンであり、雪道や凍結した路面で滑りにくくなります。しかし、タイヤチェーンによって振動が増える、長距離走行に向かない点がデメリットです。
スパイクタイヤの場合、凍結した路面走行はタイヤチェーンに劣りますが、走行しやすく、積雪にも対応できます。しかし、125cc以下のバイクにしか装着できない点に注意が必要です。
ほとんどのバイクの標準的な雪対策として、スタッドレスタイヤが選ばれます。雪道の走行は可能なものの、凍結した路面に対する効果はあまり期待できません。
雪道走行に必要なライダー用装備
雪が降るほど気温が低い日には、やり過ぎだと感じるほど対策しておくことが重要です。体温の低下や手足の指先が冷たくなると、バイクの操作に大きく影響します。走行前に暖かかったとしても、可能な限り雪対策装備を携行しておきましょう。
最低限揃えておきたいライダー用装備は、次のとおりです。
・フルフェイスヘルメット
・吸汗速乾性や保温性の高いインナー
・インナーの動きを邪魔しないミッドレイヤー(中間着)
・バイク用の防寒ジャケット
・ネックウォーマー
・手首がしっかり隠れるグローブ
・冷え対策と安全性を兼ねたブーツ
気温次第では必要ないと感じるかもしれませんが、急な降雪に備えておくことが重要です。四輪車と違って、ライダーの身体がむき出しになっているため、防寒対策は徹底してください。
雪道走行に必要な運転テクニックとは
バイクの場合、そもそもライダー自身がバランスを取る必要があり、雪道では普段よりも高度な運転テクニックが要求されます。スタッドレスタイヤやスパイクタイヤなどを装備することは重要ですが、必ず滑らないというわけではありません。
ここでは、雪道走行に必要な運転テクニックについて解説しますので、しっかりと把握しておきましょう。
低速走行を心がける
雪道の走行では、スピードを出すことは禁物です。10~20㎞/h程度を目安に、安全に走行することを心がけてください。
低速走行することで、万が一転倒してしまっても被害を最小限に抑えられます。
ブレーキの扱いが重要
普段どおりであれば、停止・減速時にはフロント・バックどちらのブレーキも使用します。しかし、雪道の走行では、フロントブレーキの使用は禁物です。減速するためであっても、フロントブレーキを使ってしまった場合、前輪がロックすることで転倒する恐れがあります。
減速または停止する場合には、エンジンブレーキで速度を十分に落としてから、状況に応じてリアブレーキを使用しましょう。また、リアブレーキを使用する際も、普段よりゆっくりとブレーキをかけることが大切です。
「急」が付く行動に注意
「急」が付く行動とは、「急ブレーキ」「急ハンドル」「急加速」です。雪道の走行では「急」が付く行動をしない、「急」がつく行動が必要な状況を避ける配慮が必要です。
後続車がある場合でも、焦って発進する必要はありません。アクセルやブレーキはゆっくりとかけることを意識し、転倒しないよう注意して走行しましょう。
また、低速であっても曲がる際にはハンドルが取られ、滑りやすくなります。特に路面がシャーベット状になっていたり、轍のある雪道を走行していたりする場合、ハンドルが取られやすくなっています。このような状況で転倒しない工夫として、交互に両足を地面に接地しつつ走行する方法がおすすめです。
路面状況は必ず確認
走行するルートの路面状況は、必ず事前に確認しておきましょう。除雪されているか、交通量は多いかなどの点も重要です。状況に応じて、より路面状況の良いルートへの変更も検討する必要があります。
まとめ
雪道のバイクでの走行には、多くの危険が伴います。優れた性能を持つスノータイヤを装備していても、熟練ライダーでさえ転倒するケースは少なくありません。
どうしても雪道を走行しなければならない場合は、滑りにくくする対策と雪道走行のテクニックを把握し、しっかりと準備しておきましょう。